2018年8月12日

療育への周りの反応

こんにちは。
療育に通うとなると、周囲からどう見られるか心配という人も多いのではと思います。
ひとつの参考資料くらいにはなると思うので、私の周りの反応についてできるだけ正直に書いてみますね。

最初に結論を言ってしまうと、療育に通うことを一番気にするのは親だと思います。周りは概ね「へー」って感じです。

どういうことか説明します。

療育に通うには受給者証が必要です。正確には、自己負担で通うと日に1万円以上のかなり高額なサービスになるので、公的な補助を受けるために受給者証の取得が必用になります。
受給者証のおかげで、1日1万円以上の療育に月20日通っても、我が家では月5000円程度+給食費で合計1万2000円くらいしか家計負担がありません。(所得で自己負担額は変わります)

しかし、このありがたい受給者証を使う上で何度も出会うのが「障害」という言葉です。そもそも法律上、療育や受給者証による補助が「障害児通所支援」「障害児通所給付費」とかいう名前なのです。

そして「障害」と名前が付くものに強い抵抗感を持つ親は多いと聞きます。
特に小さいうちは診断もつきにくく、親も「ちょっと発達が遅いだけで障害じゃないかも」と思ったりします。そんなときに「障害児」と言われると、なんとなく違和感があったり、ドキドキしちゃったりしますよね。

我が家では療育に通うために下記の手順を踏みました。
→1歳6ヶ月健診
→保健福祉センターで心理相談
→病院の小児神経発達外来の予約
→市役所で手続き
→市の聞き取り調査
→障害児相談支援事業者と契約
→障害児支援利用計画案を作成
→受給者証の申請
→施設の見学
→障害児通所支援事業所(療育施設)と契約

これだけでも「障害」という言葉が複数回登場しますよね。

担当してくれた人たちは、気を使ったのか「障害」という言葉をできるだけ使わないようにしていたようですが、それぞれの書類や契約書にはしっかり「障害」と書いてあるので避けようがありません。
役所の職員さんは「障害児って書いてあるけどあまり気にしないで使ってね」と、わざわざ手で表紙の「障害」という字を隠しながら、市の障害児支援ガイドブックを渡してくれました。

優しい気持ちからくる気遣いなのだと思いますが、むしろこちらとしては「そんなに言いにくいことなの?」と若干違和感もありました。この辺の感性は人それぞれだと思うので難しいですよね。

これだけあからさまな気遣いをされて、「障害」という文字を続けて目にすると、いくら脳天気な私でも気になって検索くらいはするようになります。「発達障害 療育」とか「受給者証 デメリット」とかね。
それで、恐らく同じように悩んでいる親が某知恵袋で「受給者証をもらっても差別されたりしないですか?」なんて質問しているのを見て、「差別される可能性があるようなことなの?」と不安になったりして。

それで、周囲に療育に通っていることを知らせるときには、過剰にドキドキしていました。

でも、よく考えてみてください。
子どもや福祉に詳しい人でなければ、普通は「療育」と言われても何のことやら分からない人がほとんどです。

私なんて、かかりつけの内科小児科の先生に「りょういく?保育園か何かですか?」と言われました。
もう面倒くさいので「ちょっと言葉が遅れてるので、人員配置の手厚い保育園みたいなところに通ってるんですー」と説明することにしています。
基本的に「良いところね!羨ましい」みたいな無邪気な反応しかされません。

うちは送迎もしてもらっているので、家の真ん前に施設名がでかでかと書かれた車が毎日来ますが、知らない人には幼稚園や保育園の送迎と見分けがつかないと思います。
他人の家の前に止まった車がどこのものなのかなんて、普通いちいち調べませんからね。

なので、発達障害かもしれないと知られたくない場合は、言わなければ問題ないと思います。

でも私たちは、日常的によく関わる人たちには「実は発達障害の疑いがあって、困った行動をしちゃうことがあるんです」と話すことにしました。
下手に隠して「悪い子だ」「しつけができていない」などと思われるよりは、「発達障害」という言葉で捉えてもらった方が理解が得やすいのではと考えたからです。

周囲の人の「普通」の範囲内の行動しか見せていなかったときは、「障害なんて気にし過ぎじゃないの」「うちもこんなだったけど○○したら上手くいったから大丈夫」「しつけの問題でしょ」と言われました。

しかし、突然癇癪をおこして暴れたり、異様なこだわりを見せたりする場面に出くわすと、彼らは全く説教臭いことは言わなくなり、「大変ね」「大丈夫?」と声をかけてくれるようになりました。
「発達障害の特性らしくて…」と言うとちょっと変な行動をしていても「そういうものなのか」となんとなく受け入れてくれることが多いです。

子どもに対する態度が変わらないか心配だったのですが、日常的に会っていることもあってか、特に避けられたりおかしな扱いをされたことはありません。
まぁ、元々落ち着きがなく変な行動はしていて、その上で関わってくれていた人たちなので、今更避けることもないのだと思います。

一番理解を得るのが難しかったのは、私や夫の親でした。つまり、子供からみれば祖父母たちですね。
うちは実家が離れていて年に数回しか帰らないので、ほんの少ししか子供の様子を知らず、血縁があるため余計に障害を受け入れにくいように見えました。
差別や偏見を恐れて反対してくるのも親族ばかりです。

これは辛抱強く説得するしかありませんでした。それでも、まだ彼らには若干抵抗や不安があるように思います。正直、理解を得たというよりは黙らせたというのが実情です。

具体的に今自分たちがどんなに困っているのか、そして療育を使えばそれがどれだけ改善する見込みがあるのか、将来的なメリット、保育園や幼稚園と比べて療育がどれだけ恵まれた環境なのか、将来の差別を心配しなくていい理由…等々しつこいくらい話をしました。
彼らはなんとなく不安なだけなので、これだけ並べ立てられると、具体的な反論はできません。

最終的に「夫婦でよく考えて話し合って決めたことだから、簡単に否定しないでほしい」「発達障害に差別や偏見があるなら、もう実家とは関わりを持てない」と言うと、私の親はとりあえずこの問題には口を挟まなくなりました。

それでも孫は可愛いようで、相変わらず写真を送れ声を聞かせろと言っています。
ただ、発達への理解はないままなので、しつけの本だとか、うちの子にはまだ難しすぎるおもちゃだとかもたくさん送ってきます。そのラインナップから、発達障害と捉えることへの反発を感じなくもないですが、まぁそのくらいは仕方ないですね。

もう少し子どもと頻繁に接していて、困った場面にも遭遇していれば、理解も進んだのかもしれませんが、私の説明だけではこれが限界です。

そんなこんなで、療育に通ったり発達障害かもと話したりしても、自分の親と多少もめた程度で、周囲からの悪影響はほぼありません。
むしろ、血縁のない他人はより理解を示して優しくしてくれるようになりました。

周りから変な目で見られるかどうかって、結局は障害の有無じゃなくて、目立つ行動をしてしまうかどうかだと思います。
早めに療育を始めた方が、周りと上手くやっていく方法を身につけることができて、結果的に悪目立ちせずに済むこともあるはずです。
また、どうしても目立つ行動をしてしまうにしても、それを「しつけのできていない子」「友達を思いやれない悪い子」と思われるよりは、「発達障害」という理由がある方が排除されにくいのではないでしょうか。

目立つ行動がなく療育に通っていることを隠したいなら、受給者証を持っていることを言わなければいいだけです。親族でも無理に言う必要はないと思います。
必要がなくなれば受給者証は自治体に返すだけなので、子供の将来に特に影響を及ぼすようなものでもありません。

我が家にとっては、親や親族が「差別を受けたらどうしよう」と感じることが、療育に通う上で唯一にして最大の障壁でした。私は今はそんなのは杞憂だと思っています。

各家庭でそれぞれ色々な事情があるでしょうし、我が家のケースが全ての場合に当てはまるわけではないと思いますが、もし何かの参考になれば幸いです。

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